EV Charging Equipment
EVの普及にともない需要が高まるマンションのインフラ

EV(電気自動車)充電設備設置

街中で見かけることも増え、身近な存在になりつつある電気自動車(EV)ですが、現状のユーザーは、一戸建てにお住まいの方が多いようです。戸建ての方の場合、ご自宅に専用のEV充電設備を設置しやすいためと考えられます。
一方で、マンションにお住まいの方は、個人の一存では、マンション内にEV充電設備を設置することはできません。マンションにお住まいの方に、EVユーザーが戸建てほど増えない理由のひとつは、既存のマンションにEV充電器の設置が少ないからと言われています。公共施設だけではなく、マンションなどの集合住宅へのEV充電設備設置が、現状の課題のようです。
今後、お住まいのマンションでEV充電器の設置をご検討される際に、参考にしていただけるようチェックポイントや進め方などをまとめましたので、ご参照ください。

EV(電気自動車)とは

日本では2035年までに、乗用車新車販売で「電動車」100%を実現できるよう包括的な措置を講じる、という政府方針が明示されています。「電動車」とは、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCEV)の4種類です。
EVは、この4種類のうち、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEVまたはPHV)の2種類となっています。

分類 電動車
EV
EV
電気自動車
PHEV(※)
プラグイン
ハイブリッド
HV
ハイブリッド
FCEV
燃料電池車
動力 電気モーター
ガソリンエンジン × ×
エネルギー源 電気(電池) 水素と酸素
ガソリン × ×
エネルギー補給 充電 × ×
ガソリン給油 × 水素と酸素

あり:○ なし:×
(※)PHVと表記されることもあります

EV充電器とは

EV充電器は、
●普通充電器:出力3kW~6kW ●急速充電器:出力10kW~ の2種類に大別されます。
EVには、下図のように、普通充電と急速充電の2つの充電口があります。画像のように普通充電と急速充電の充電口が並んで設置されているクルマと、2つの充電口が離れた場所に別々に設置されているクルマがあります。

急速充電器
普通充電器(コンセント)
普通充電器(コネクタ)

EV充電器の機器実例とコスト目安

普通充電と急速充電の機器には、以下のような種類があります。コンセント型以外の設備には充電ケーブルとコネクタが付いており、車両に差し込んで充電します。
EV充電器の費用や設置工事費、配線費用など、概して高額な費用がかかりますが、国や自治体による補助金を利用して実費を抑えることが可能です。

注:機器には様々なタイプがあるため、主な類型を記載しています

充電器の種類と
設置タイプ
普通充電器 急速充電器
コンセント型 壁面取り付け型 スタンド型
出力 3kW・6kW 10kW~
設置コスト(※1) 約50万円 約80万円 約130万円 (※3)
ランニングコスト 保守契約は任意(※2) 保守契約が必要(※4)

※1:機器と工事費の合計です。大掛かりな配線工事や、受電設備の新設工事等を含まない参考価格です。
※2:設置(課金)会社が保守プランや、保守料を設定することがあります。
※3:10kW:300万円、25kW:400万円、50kW:600万円程度が、ひとつの目安です
※4:保守料は年間10万円台~。 保守プラン、保守の内容によって、料金が変わります。
*各数字は2023年7月現在のものです。

EVの充電口について

EVの充電口の位置は、メーカーや車種によって異なりますが、大別すると以下の4カ所になります。

①前面 ②前方側面 ③後方側面 ④後部

また、車種によっては、普通充電と急速充電の充電口が別々に、2ヶ所設置されている場合があります。

前面
前面
前方側面
後方側面
後方側面

EV充電は、場所、状況、目的によって、以下の3種類に大別されます。

  • 基礎充電(住居やオフィスなどで車を使用しない時間帯に充電)
  • 経路充電(目的地までの移動の途中で充電)
  • 目的地充電(ホテルや商業施設など、目的地で充電)

マンションに設置する充電設備は「基礎充電」になります。

EV充電器の設置場所の検討

マンションに、EV充電器を設置する際には、設置場所を検討する必要があります。以下、実例です。

●平置き駐車場(屋外) ●平置き(屋内) ●自走式駐車場 ●機械式駐車場 ●タワーパーキング

平置き駐車場(屋外)
平置き(屋内)
自走式駐車場
機械式駐車場(単純昇降)
機械式駐車場(単純昇降)
タワーパーキング<br>※画像は新築時の設置設備

参考

EVは、ガソリン車と比べて経済的でしょうか。
下記の表の空欄に数値を入力すると、1km走行あたりのコストが表示されますので、試算してみましょう。

  EV ガソリン車
エネルギー単価 電気代:1kWhあたり ガソリン:1リットル
電費・燃費(※) 電費:
1kWhあたり走行距離
km 燃費:
1リットルあたり走行距離
km
1km走行あたりのコスト -- --

(※)電費・燃費は車種によって標準的なスペックが異なります。コストは小数点以下第二位を四捨五入しています。

EV

1kWhあたり 1kWhあたり走行距離 km --

ガソリン車

1リットル 1リットルあたり走行距離 km --

既存のマンションがEV充電器および設置(課金)会社を検討するときのチェック項目とそのポイント

EV充電器設置(課金)会社 比較項目と比較のポイント

費用にかかわること

機器費用 充電機器購入に際して、補助金などを充当後に管理組合の負担があるかどうか
工事費用 設置工事において、補助金などを充当後に管理組合の負担があるかどうか
諸経費 機器購入と工事費以外に初期費用が生じるかどうか
設備保守 設備の保守、システムの保守などの費用負担の有無
充電料金 時間制基準:1時間当たりの単価及び機器の出力に留意
定額(サブスクタイプ)基準:定額での充電量、充電時間、超過時の単価に留意
電気使用量基準:1kWhあたりの単価
月額利用料 システムやアプリの使用料の有無
手数料 充電料金に対して、手数料課金の有無
その他 充電料金を設置(課金)会社に支払った後、その一部が管理組合に還元される仕組みの有無

※1 補助金は、国と自治体の制度、申込期限や残高にご留意ください。
※2 費用の流れは下記をご覧ください

設置、設備にかかわること

台数 何台まで設置してもらえるか、管理組合の希望は反映されるか、のちのち増設は可能か
設置場所 平置き、自走式駐車場、機械式駐車場
新規引込 新しく別系統で、電線を引き込む(受電設備を新規設置する)工事が可能か
設備所有者 設置したEV充電設備の所有者は誰になるか

運用、サービス、契約にかかわること

理事会・総会支援 設置(課金)会社からの支援として、理事会、専門委員会、総会などに出席し、説明、提案などの対応可否
意見集約、方針決定 アンケートを実施し、意見集約・分析のうえ、適切な提案をもとに方針の決定まで理事会・管理組合をサポートできるか
工事及びアフター対応 設置工事、メンテナンス、増設の相談などに対応できるか
コールセンター 24時間365日のコールセンターが整備されているか
課金システム 自社の課金システム(アプリ)があるか
契約期間と制約 契約期間は何年か、契約上の制約事項は何か、増設となったとき、他社に依頼できるか
違約金 契約期間中に解約すると、違約金が発生するか、その他ペナルティ条項はあるか
会社経歴 系列、業歴、実績、会社規模、上場等、設置会社の信用リスクの判断はどうか ※複数年契約となるため

費用の流れ

①管理組合様が関わる場合

※1:電気料金の支払体系 例
 (1)利用電力従量制(1kwhあたりの料金)
 (2)充電時間従量制(1時間あたりの料金)
 (3)サブスク形式+充電時間従量制
※2:課金が発生する場合としない場合があります。個別の項目として発生しなくても、実質的に電気料金の単価に含まれる場合があります。
※3:管理組合が電力会社に支払う電気料金(A)とは必ずしも同額ではありません。
※4:課金(設置)サービス会社によって、制度の有無や料金設定が異なります。
※5:課金(設置)サービス会社によって、料金が発生する場合があるため確認が必要です(※3の支払時に差し引きされている場合もあります)。

②管理組合様が関わらない場合

新規に電力の回線を別引込みして、電力会社と課金(設置)サービス会社が契約を締結する場合

管理組合で検討する際の進め方

管理組合がEV充電設備設置をご検討される場合の手順は、以下の通りです。

  1. EVの理解・説明
  2. アンケートの実施
  3. 具体的検討・設置(課金)会社選定
  4. 合意形成
  5. 補助金申請
  6. 設置工事・課金システム導入
  7. 設置後の対応

この工程を理事会・管理組合が主体で実施することも、外部(設置・課金会社)に依頼することも可能です。
設置(課金)会社には、上記の工程を全て対応できる会社とできない会社があり、コストやサービスも各社異なります。
まずは、管理を委託している管理会社に相談するのも方策となります。

詳しい手順内容は、下記をご参照ください。

EVについての理解
EVとガソリン車等との違い、EVの特長や留意すべき点、EV充電の仕組みと充電設備・機器についての基礎的な知識をご理解いただくことが重要です。
アンケート
マンション全体および将来に係る事案ですので、居住者様・組合員様に、ご意見やご要望をお伺いすることによって、合意形成が得やすくなります。(※1)
アンケート調査は、各マンション様の個別適切な検討にも有用です。
具体的検討①
アンケート結果を反映した設置計画を策定します。
充電設備の種類、設置台数・場所、課金方式等のそれぞれの要件と、所要コストおよび組合財政を加味した検討が必要です。
具体的検討②
設置計画に対応できるEV充電器設置(課金)会社については、固定の契約期間、解約の際のペナルティ、設備保守の有無と費用、緊急対応、将来増設が必要となった場合の対応可否等、設置したあとの取引条件についても十分検討する必要があります。
実行準備
設置計画に最もマッチング度の高い設置(課金)会社の候補を選び、その会社に依頼するかどうか、設置計画を含めて管理組合としての合意形成を図ります。合意形成は、総会決議が必要となります(普通決議もしくは特別決議)。
実行
設置を依頼する会社と契約のうえ、工事日程の調整を行い、施工実行します。
補助金の活用も重要です。補助金を支給されるには、申請と認可を要します。国の補助金だけでなく、自治体の制度の有無と、申請期限、補助金残高の確認も必要です。
事後対応
利用状況、設備の過不足、居住者様の意識の変化などについて、設置後のモニタリングも有効です。

※1:アンケート調査の実施、集計、分析、アンケート結果に基づいた設置計画の策定・提案、補助金申請等を、管理組合に代わって、代行する会社もあります。

*詳細は長谷工コンタクトセンターにお問い合わせください。

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